アンプラグド・プレイヤーをはじめとするプロの現場はもとより、コンサート/ライブ通いなどで大音量の音楽に晒され続け、聴覚ダメージが懸念されるすべての人へ――
Sensaphonicsの原点であり、難聴の危機に瀕する多くの方々を救い続けている「Musicians Earplugs(ミュージシャン・イヤープラグ)」をご紹介します!
Musicians Earplugsは音量を下げたうえで音質を保つことができる!
音を正確に聴きたい人のために
世界最高レベルの遮音ができる耳栓に
フィルターで制御した音を透過させる
オーダーメイド耳栓
この「Musicians Earplugs(ミュージシャン・イヤープラグ)」は、音質を変えずに、音量だけを下げることができるように作製され、微妙な音質の変化であっても支障をきたす音楽家などが利用できるようにした専用の耳栓です。その大きな特徴は、本人の耳型を採取して作製するオーダーメイド・イヤープラグであること。ユーザーの耳の形状に合わせて医療用シリコンで作製したモールドに、遮音する音量を調整した特殊な音楽用フィルターを装着して、希望の透過音量が選べるようになっています。このフィルターは9dB,15dB,25dBの3種類で、規定の音量を遮音することができます(9dBフィルターの場合はカット量が9dB、25dBの場合は25dB分の音量を、音質バランス=周波数特性を変えることなく遮音)。
音はその特性として高音域帯ほど遮音がしやすく、低音ほど遮音が難しくなります。このため、通常の市販の耳栓では音質バランスが崩れた音が聴こえるようになり、騒音など音質にかかわらず防音だけをしたい場合は有効ですが、音(音の特徴・音質)を聴く必要がある場合は使用することができません。
この「Musicians Earplugs」の仕組みは、いったんシリコンで世界最高レベルの約34dB以上の遮音(プロテクト)を行い、そのイヤーモールドの中央に音の通るパイプを形成し、ここにフィルターで制御した音を透過させる仕組みです。これは、シリコンでのプロテクト(外部音の隔離)が高いほど正確な音質透過が可能となることから、高度な遮音性能を必要としているためです。
コップに水を注ぎ続ければいつか溢れ出すように
大きな音圧(エネルギー)を受け続けていると
いつの日か聴覚に支障をきたしてしまう!?
人間の聴覚細胞は一生の間に受容できる音量の上限があるとされ、年をとると耳が遠くなるのもこの上限を超えた影響と考えられます。聴覚細胞が受けてきた音の総量は「音のエネルギー量×時間」で表わせます。一回に聴く音のエネルギー量が少なければ、それだけ長い期間音を耳が聴き続けることができるのです。
音のエネルギー量を簡略化した単位=dB(デシベル)でみると、3dBで聴覚の受けるエネルギー量は1/2になると考えられています。たとえば90dBと93dBでは、聴覚の受けるエネルギー量は倍になっているのです。
「Musicians Earplugs」を使用すると遮音量が最も少ないフィルター9dBでも、聴覚が受ける音のエネルギー量は約1/8の12.5%となります(1/2の50%、その1/2で25%、その1/2で12.5%)。つまり、騒音性難聴になるリスクはグンと低くなるのです。15dBカットでは約3%、25dBではなんと約0.3%余りです。何も着けていない裸耳から考えるならば、細胞の寿命をそれぞれ約8倍、32倍、300倍に伸ばしたことになります。
このことから、たとえ9dBカットでも大きな影響が出てくることが理解できます。実際の聴こえ方ではあまり自覚されにくい3dBの差でも、人生という長期でみればQOLに関わる大きな差になるのです。
米国には、労働環境下の騒音レベルに関する法律(「職場の安全と衛生に関する法令」OSHA)がありますが、“音楽の世界の危険な音量”に関しては何の法律もありません。2019年2月、世界保健機関WHOがかねてより懸念されている若者の難聴問題を視野に、ようやく音量規制関する初の国際基準“NEW WHO-ITU STANDARD”を発表しましたが、これが徹底されるにはまだまだ時間がかかるでしょう。もちろん(?)、日本にも音楽の音量に対する規制・勧告・指針はありません。では、誰がミュージシャンの耳を守るのか?
残念ながら、今まで受けてきた聴覚への音圧エネルギーを取り除くことはできません。しかし、これから受ける音量を自分自身でコントロールすることはできます。現に、「Musicians Earplugs」のユーザーのなかには自身で難聴の兆候を察知して愛用者となり、耳をケアしながら第一線で活動を続けているオーケストラ奏者やドラマーの方々もいます。つまり、自分の聴覚を守ることができるのはほかでもない、自分自身なのです。
Musicians Earplugsの製品概要
【耳型の採取が必要】
個々の耳の形状で作製するため、必ず本人の耳型の採取をする必要があります。採取は提携の補聴器店で実施でき(予約制)、所要時間は約30分程度です。
採取された耳型は弊社で保管します。通常は2~3年の期間、紛失や再製作の際に利用することができます。同じ耳型からイヤーモニターを作製することもできます。
【製品スタイルは2種類】
耳全体の形状で作製するフルシェル・タイプと、耳穴(外耳道)の形状で作製するカナル・タイプがあります。
目立ちにくいのはカナル・タイプで、こちらが一般的です。稀に、細い耳の形状の人などフィルターが入らないほど小さい耳の場合は、フルシェル・タイプでの作製になることがあります。
【シリコンのカラー】
モールドのシリコンカラーは10色から選べます。クリアピンク(肌色がかった透明)、無色透明、黒、赤、黄、青、緑、オレンジ、ピンク、白の各色で作製できます。色のミックスはできません。最も目立たないシリコンカラーは透明及びクリアピンクになります。
フィルター自体の色は外形が透明系なプラスチックで、フィルター部分は白色になります。
【ペアリング加工】
イヤープラグを使用しない間の紛失防止を兼ね、首に掛けておけるようにするため、左右のイヤーモールドを透明なシリコンワイヤーで連結するオプション加工ができます。
ワイヤーコードの長さは任意に指定できますが、通常は95cmで作製します。
【耐久性とクリーニング】
素材は医療用シリコン(整形外科などで利用)なので、経年経過による変質が少ないのが特長です。10年以上にわたり継続使用している例もあります。
モールドは手洗い石鹸などで洗うことができます。フィルターは水洗いを避けてください。
【各フィルターの遮音レベル】
9dBのフィルターを使用すると遮音している感じがとても少ないのですが、クラッシックの方などはこれでも減り過ぎと感じる場合もあります。微妙な音を聴きながらの演奏では充分な減量です。
バンドなど電気的な演奏をされる環境の方は、9dBでは足りず15dB以上が必要です。15dBは会話が聞きとれる範囲内で、25dBでは聞きとることが難しくなります。9dBは周囲との会話が可能です。
聴力が落ちて、いわゆる難聴と自覚をするときが、通常20~25dBぐらいの難聴になってからと言われているので、15dBくらいであれば、会話の成立する範囲ともいえます。
【フィルターの交換】
その日の会場の音量状態などに合わせ、フィルターを交換して使えます。また、バイオリニストの方などで、音の大きい側に15dB、逆側に9dBフィルターという使い方もできます。音圧の大きい側を多く防いでバランスを整える使い方です。
交換はユーザー自身で行います。指(爪先)でフィルターをクリっと摘まむような感じで、簡単に取り外せます。嵌め込む場合もモールドに押し込むようにすると、パコっと入る感じです。道具などは一切必要ありません。
<<<スリーピング・イヤープラグについて>>>
「Musicians Earplugs」の最大遮音量は25dB(25dBの遮音フィルター使用時)ですが、この25dBの遮音量というと、目安としては、ジェット飛行機の下で働く整備士の方などが着けているヘッドギア(イヤーマフ)の遮音レベルが約25~30dBくらいとされています。
しかし、25dBよりさらに減音したい場合は、音質の変化(各周波数帯での異なる遮音量)が起きてしまいますが、各周波数ごとに最大の遮音量を希望されるのであれば、防音用のイヤープラグである「スリーピング・イヤープラグ」のご利用をおすすめします。
「スリーピング・イヤープラグ」は音を通すための音導穴がなく、フィルターの付かないタイプで、耳型を採取してシリコンだけで作製するイヤーモールド耳栓です。ユーザーの耳の形状から作製するオーダーメイド仕様のため、耳と製品の形状が一致し、耳の一部分への圧迫などなく、全体でフィットする性質があります。そのため着装が安定するので、他の耳栓のように着けるたびにフィット感が異なったり、外れやすい、遮音量が安定しない、といった問題が起きません。
遮音性能は他の耳栓と比べて大幅に高く、各周波数帯域(オクターブバンド:ある周波数からその2倍の周波数までの幅)の各周波数帯で34dBを確保しています。よく市販耳栓で遮音性能のスペックに50dBや60dBといった記載がありますが、それらはその耳栓の素材自体が持つ遮音性能(素材遮音性能)であり、人が実際に着装した際の“実効遮音量”の表示ではありません。これに対し、当社で記載する遮音性能の数値はシリコン素材の遮音性能ではなく、装着時の“実効遮音性能”を示してい
ます。したがって「スリーピング・イヤープラグ」の遮音量は実装時での遮音量を表しており、周波数によって異なるものの平均で34dB、8kHzでは45.5dBにも達し、世界最高レベルとなります(下記「遮音量表」参照)。
「スリーピング・イヤープラグ」の製品スタイルは「Musicians Earplugs」同様、耳全体の形状で作製するフルシェル・タイプと、耳穴(外耳道)の形状で作製するカナル・タイプの2種類があります。下の表からもわかるように、音質を保つということでなく、周波数帯でそれぞれ最大の遮音性を実現した耳栓なので、防音専用として睡眠時はもちろん、音の分析を必要としない飛行機や新幹線などの移動中や、工場などの騒音下で利用するのに最適といえます。
――――――――PRICE
◎ミュージシャン・イヤープラグ ¥30,000
シリコンモールド及びフィルター1種類(左右用で2個)
専用のキャリングケース及び使用説明書が付属します。
◎耳型採取料 左右で、約¥6,000~¥12,000(採取を行う補聴器店によって異なります)
◎追加フィルター各dB1種類(左右用2個) ¥9,500
ご利用後にフィルターだけをご注文することもできます(送料別途/税別)。
◎ペアリング加工(ワイヤーコードでジョイント) ¥3,000
◎スリーピング・イヤープラグ ¥20,000
(すべて税別/カナル・タイプ、フルシェル・タイプともに同額)
【価格につきましては、予告なく変更されることがありますのでご承知おき下さい。】
A Story About…………………………………………………………………………
Musicians Earplugs誕生のきっかけは
聴覚学者と難聴を訴えたミュージシャンとの出会いから
Sensaphonicsの創業者マイケル・サントゥッチ博士は、シカゴで活動をしていたオーディオロジストでした。1985年、地元のTen28というバンドの女性ヴォーカル、ジョアンナ・バックが治療に訪ねてきました。彼女はバンドを辞めようかと悩むほど深刻な難聴の問題を抱えていたのです。
マイケルはこの時、“演奏の現場”が危険なほど大きな音量である現実に初めて気がついたのです。そしてユニバーサルスタジオとパラゴンスタジオで、市販の各耳栓の周波数レスポンスの計測実験を行いました。これにより、どの耳栓も高周波数音域帯が遮音され、低音域帯が遮音されないことが判明しました。これこそ、市販の耳栓が音楽の演奏に全く向いていないことの原因でした。
そこで、彼は音をフィルターで濾過し、コントロールする実験を始めたのです。聴覚学のミード・キロン博士(現Etymotic社CEO)の協力によりフィルターがつくられ、シリコン製のモールドと組み合わせて「ミュージシャン・イヤープラグ」が完成したのです。
さらに、このイヤープラグによる製造ノウハウが発展し、イン・イヤーモニター(IEM。通称イヤモニ)へと進化していきます。今では、IEMが音楽シーンに深く浸透し、世界中のアーティストの耳に装着されるようになっています。その最初のきっかけが、イヤープラグの開発にあったのです。
ちなみに、このイヤープラグを使うようになったヴォーカリストのジョアンナ・バックは、喜ばしいことに現在でも音楽活動を続けています。
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