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ムーブインターロック機構、カナルの先端が更に柔らかくなった!
(Move InterLock)

センサフォニクス・ジャパン・ラボが開発。世界に向けて発進。

センサフォニックスでは外耳道の密閉性、変形の問題の解決策として2001年から、固いアクリル製のIEMから、メディカルグレードの柔らかいシリコン製のIEMに全面的に変更し対応してきました。しかし、ボーカリストなどの外耳道は、顎の動きにより変形を繰り返しています。カナルの先端を特殊な加工により独特な形状にすることにより、シリコンがより柔らかく外耳道の変形と連動してフレキシブルに動くようになりました。それがMove InterLock(連動して動く)機構です。


 IEM最先端のテクノロジー

さらなるシリコンの革新

     耳と一緒に動くイヤモニ

ムーブインターロック機構とは

外耳道は、顎の動きにより変形を繰り返しています。特にヴォーカリストや管楽器奏者などが演奏時に口の開閉を行う場合はそれが顕著に顕われます。
それに対応する為、センサフォニクスではイヤモニターにシリコン素材を使用してきました。しかし柔らかいシリコンでもまれに外耳道の形状と太さの関係から“パコ音”が発生することがありました。
そこで開発されたのが外耳道の先端の形状を独特なフォームに加工するこのムーブインターロック(連動して動く)機構です。

この機構はイヤモニ日本上陸の翌年,2005年に日本で始めてのIEM生産工場としてスタートしたセンサフォニクスジャパンラボ(IEM日本工場)で数年間にわたる研究と開発を経て、改善の必要があった歌手など数十人への提供とライブ使用による実施を行って開発されてきました。
著名な歌手の方々の協力による、この適用実証によって、今回発表されたのがこのムーブインターロック機構です。

IEMの大きな問題

耳型を採って作製したIEMもその形状は採取した時の外耳道の形です。使用時の外耳道は変形を繰り返しているために、形状の差異が発生してしまいます。口開きで採取をしても、口閉じで採取をしても ’その時の耳の形状’ で作製していることには変わりません。外耳道と形状とイヤモニの形状のズレが、緩みの原因になりIEMが外れてしまう現象を引き越します。当然、緩んでくれば遮音性が落ち外の音が聴こえてきます。音楽関係者の間で、いわゆる“パコ音”とか“ペコ音”とか呼ばれるのがこの現象です。
更にもっと緩むと耳からIEMが外れていきます。ライブシーンでよく演奏中にイヤモニを耳に押し込んでいるシーンが見られるでしょう。

シリコン製での対応

センサフォニックスではこの問題の解決策として2001年から、固いアクリル製のIEMから、メディカルグレードの柔らかいシリコン製のIEMに全面的に変更されました(この時を持って10年にわたり生産していたハードシェルタイプのIEMは廃番)。

では、何故シリコンに変える事で、この現象が止まるのでしょうか?
シリコンで作製されたソフトシェルのIEMには、アクリルやレジンなどのハードシェルIEMに有りえない特長を持っています。その最大のポイントは、その形状が変形(変動)できることです。
つまりイヤモニ側が固定された形状ではなく、必要に応じて柔軟に形状を変えられるということです。

ヴォーカリストの外耳道が顎の開閉によって変形を起したとしても、このシリコンの柔軟性が、その変形に添うように動いてついていくのです。これにより両者の形状の差異が発生せず緩みも出ず、“パコ音”の発生も抑えられます。加えてこのシリコンはその柔らかさで痛みも起さないので、強めのフィットが出来ます。つまりこれが驚くべき遮音性の実現とパフォーマンス性能の向上に繋がっていくのです。

アゴ関節はいつも動いている!

アゴの関節は耳穴の直前の位置で固定されていない!
なんと、誰でも2cmは上下に動いている。

柔らかいシリコンが、もっと柔らかく!?

==ムーブインターロックへと進化==

シリコンの柔軟性は外耳道の大きさ(太さ)に比例して、徐々に固めになっていきます。同じ素材でも、太いモノ、大きいモノの方が固くなるということです。ほとんどの人のケースで問題が出てこないシリコン製のIEMですがその個人の形状によっては時々“パコ音”の発生が起こることがありました。この問題に対処するためには、IEMのカナル側が、外耳道の変形と共にもっと変形していく必要があります。今回開発された、ムーブインターロック機構は、外耳道と共に変形が可能なシリコン製のカスタムIEMの特徴を、さらにカナルの先端に空洞を確保することで、より変形しやすいようにして対応させようという世界初の新技術です。

今までは、問題の発生したアーティストへの対応としてこの加工を行い、個別に対処していました。その多くの実施例を得る事によってパコ音やIEMの耳からのズレが生じやすい外耳道の形状が予想がつくようになってきました。つまり形状によるパコ音の予測ということです。しかし、耳型形状の情報からだけでは、顎の動き(関節の噛み合せ、顎関節の個人差など)が予想出来ない為に、今後はご希望や必要のある方にオプション加工として、この加工を施した製作を実施します。なお、外耳道が細いタイプ(注)の方の場合は、シリコンの柔軟性が外耳道の変形に連動しますので、この機構の必要はありません。

(注)外耳道の第二カーブから鼓膜に約3mm近づいた部分での直径が 6.5mm×5.5mm以上の場合に加工が実施できます。これ以下のサイズの場合は、ムーブインターロック加工の対象外になります。細めのカナルの場合は、十分にシリコンの柔軟性で外耳道の変形に連動し対応ができます。

外耳道は何故変形するのか?

外耳道は、いわば身体の外から中に通じる、1本の柔らかなチューブのようなものなので、その形も、身体全体や骨や筋肉、皮膚などの動きと変形に左右されており、固定されたものではありません。ご自身の顎を動かすと「カク、カク」と言う音が聴こえるでしょう。これが顎関節の動いている音です。外耳道の変形は、顎や筋肉の動きと連動して起こります。


耳に指を入れて、口を開けたり、閉めたりしてみて下さい。きっと驚くほど動いていることが感じられることでしょう。


カスタムIEMは本人自身の耳型で作っても、どうしてもその型を取った時点での形状を写しています。採取された耳型はその瞬間の姿勢角度(通常は静止時で、口閉じ、口開きなど)その姿勢の耳型という事になってしまいます。すると、違う姿勢や角度、顎を大きく開けて歌ったり、演奏したり、ダンスをしたり寝転んだりといった動作で生み出された外耳道の形状とでは同じになりません。そのため隙間が生じたり、痛みが発生したりということが起きるのです。

先端のカナル部分により柔軟性を持たせる為、先端部分に4つのスリットのような空間が設定されています。これによって、シリコンの柔らかさに加えて先端部分が、外耳道の変形に“連動して動く”(Move-Interlock)という事が可能になりました。

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